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サイクリングツアー日記 vol.1「伊那谷サイクリングトリップ」
10月17日の朝、辰野町は前日の夜から降り始めた雨がまだポツポツと降り続いていた。
今日は、「伊那谷サイクリングトリップ」ツアーの開催日。
朝には雨が止むという予報だったので決行するという判断をしたけれど、ほんとに雨が止むのかどうか、気を揉みながらグラバイステーションへやってきた。
9時半になると、一人目の参加者の方がやってきた。東京から参加してくださった女性の方で、普段サイクリングはしないという。なんとか雨が上がってくれないか、という思いが強まる。
ともあれ、まずは自転車の調整から。参加者の方ひとりひとりに合わせて自転車を選び、サドルの調整をする。普段あまり自転車に乗られない方には、安全な乗り方の講習も行う。
10時前には、ほかの参加者の方も集まってきた。全員の自転車調整を行い、ガイドを務める小口良平からブリーフィングを実施する。小口良平は、8年半かけて世界を自転車で一周した自転車冒険家。走行距離15万5000 km、訪問国数157カ国の経験を生かし、面白いサイクリングツアーと安全なガイディングを提供する。
今回のルートの説明や、ハンドサインなどの説明を終えて、いざ外に出てみると、雨はすでに上がっている。どんよりとした曇り空ではあったが、ときおり雲の切れ間から青空ものぞいていた。
大きな荷物はグラバイステーションのロッカーに預け、服装を整え、ヘルメットをかぶって出発。身軽なスタイルで、Eバイクに乗って、70km先の下伊那郡松川町を目指して走り出す。
伊那谷は中央アルプスと南アルプスの間を流れる天竜川が形づくる谷。80kmにわたって、長野県南部を貫いている。今回のツアーは、天竜川のすぐそばを走ったり、寄り道したりしながら、南へと下っていく。川岸は、谷の中で一番標高が低い場所なので、谷全体を見渡しながら走る。下流に向かってゆっくりと表情を変える天竜川を眺めながら、のんびり走る区間だ。
青空の伊那谷の風景は、とても開放感がある。ふたつのアルプスに挟まれてはいるが、その間には距離があるので、空はとても広い。ふたつのアルプスを眺めながら爽やかに走るには、天竜川沿いが一番だ。そして、もうすぐアルプスのてっぺんには雪が降る。白くなったアルプスもきっと綺麗だろうなあと思いつつ、近づく冬の寒さに身が引き締まる。
出発から2時間ほど走ると、おひるごはんのポイントに到着した。今日のお昼は、伊那市駅前の「コーヒーとサンドイッチおかもと」さんの野菜サンド。新鮮な野菜をおいしいパンで挟んだサンドイッチでリフレッシュする。食後には、ガイドの小口良平がハンドドリップのコーヒーを振る舞う。お湯を沸かし、コーヒー豆を挽き、ドリッパーにお湯を注いでゆくスタイルは、世界一周していた時と同じ。自転車を漕いだ後で味わうコーヒーは、いつもの味とはまた違った深さがある。
サンドイッチとコーヒーでお腹いっぱいになったら、再び出発。晴れ間も広がってきて、参加者の皆さんの足取りも軽い。
次の休憩ポイントは、10kmほど先の地点。Eバイクなら1時間ほどでたどり着く距離だ。実はすでに25kmも走っているが、疲れた様子を見せている人は1人もいなかった。自分の力だけでは走っていくことができない場所にも辿り着けるのが、Eバイクの良さだ。
再び、天竜川左岸側の平坦な道を走ってゆく。目指すのは、上伊那地方のいちばん南にあたる、飯島町。スタートした辰野町は上伊那地方のいちばん北の町なので、上伊那地方を縦断しているかたちだ。上伊那はアップダウンが少なく、果樹園や田んぼを眺めながら気持ちよく走ることができる。
最終目的地の飯島町あたりになると、起伏のある地形になってくる。天竜川とその支流たちは谷を作るようになり、南に向かって走っていくといくつもの丘を越えていくことになる。そしてその丘には、りんごや栗の畑が広がっている。ちょうど季節は栗の収穫期。大きな栗がなった木を横目に走り、スイーツへの期待も高まる。
最終目的地は、小高い丘の上にあるスイーツ店、「信州里の菓工房」さん。ちょうど栗の時期ということで、店内には栗を使った和菓子から洋菓子まで、いろんなスイーツが並べられている。辰野町からはるか60km走ってきた参加者の方々には、店内のカフェスペースでご褒美のスイーツタイム。用意されていたのは、とれたての新栗をつかったモンブラン!かなりの大きさだが、自転車を漕いできたこともあって、皆さんおいしそうに頬張っている。
モンブランを満喫した後は、5分ほどの場所にあるJR飯田線七久保駅で解散。今まで走ったことのない距離を走り切ることができて、みなさん満足そうな様子!帰りは飯田線に乗って、今日のサイクリングを振り返りながら帰途につく。
「伊那谷サイクリングトリップ」は、伊那谷の景色と食べ物を存分に味わいながら、気持ちよく自転車を走らせることができるツアーだ。実り豊かな信州の秋を、自転車に乗って体感してみてはいかがだろうか。