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「道を刻む」という営為

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スタッフの渡邊は先週、上高地へ1泊2日でトレッキングに行ってきました。夏は多くの人でにぎわう上高地も、冬は釜トンネルが閉鎖され、10km近く歩いてようやくたどり着く北アルプスの奥地へと変貌します。

ずっと、山に登る、という行為が、どこかサイクリングに似ていると感じていました。
自然の中に身を置き、自分の足で道を刻み、今ここではない場所へと進んでゆこうとする。この、「日常」あるいは「現状」からの離脱が、このふたつの行為を似ていると感じさせるのかもしれません。

しかし、登山もサイクリングも、最後にはもといたところに帰ってきます。離脱はずっと続くものではありません。
では、帰ってきたとき、私たちは何を手にしているのでしょうか。

その問いに答えるのは難しいでしょうし、すべての人に当てはまるこたえはそもそも存在しないかもしれません。
ただ、今なんとなく考えていることは、そのこたえの一つとして「想像力」というのが想定できるのではないか、ということです。

ここでいう「想像力」は、文章から情景を描き出したりとか、なにかを空想したりといった、頭の中で具体的なイメージを作り出すこととはちょっと違います。

今ここではない世界を観念すること、違う時代の、違う場所に生きる自分があり得ると観念すること。「道を刻む」という営為が、そういった「自由を身体化する想像力」をもたらしてくれているように感じます。

日常生活を送るうえで、登山もサイクリングも必ず必要なものではないでしょう。しかし私は、自由でありたい。自分自身の意識からも自由でありたい。

だからこれからも私は、山に登り、自転車を漕いでいくでしょう。